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2011年6月

田舟で水郷をゆく
想いを伝えて、未来につなげよう

2011.6.5

 伝えたいことはネットがあればいつでも、どこでも伝えられる。個人ならブログやFacebookやTwitterで、組織なら公式WEBサイトで。スマートフォンのアプリやCMSによってハードルが情報発信の技術的なハードルも取り払われ、いつでも、どこでも、誰にでも発信できる。素敵な時代になったと思う。

 1995年。決して忘れない3つの記憶がある。
1月17日の朝、衝撃的なテレビ映像で知り、6,000人を超える犠牲者の命と引き換えに大きな教訓を残した阪神大震災。震災復興に向けた「がんばろうKOBE」活動の記憶。二つ目は就任したばかりのフランス大統領が、世界的な批判を無視し、包括的核実験禁止条約 (CTBT)締結直前にムルロア環礁で核実験を強行したこと。反対署名を集めネットとFAXで大統領に送りつけた記憶。3つ目は若狭湾岸に作られた高速増殖炉「もんじゅ」の事故とそれを隠蔽し続けた動燃(当時:動力炉・核燃料開発事業団)と原子力政策への怒りの記憶。

 2011年途方もない大災害のいまだ最中。私たちは何をすればよいのか、自問の日々は終わらない。
1995年の阪神大震災当時は、日本ではまだインターネットの普及は進んでおらず、携帯電話の保有者も珍しかった。京阪神の友人や親戚の安否が知りたかったが電話網の輻輳でかなわなかったことを思い出す。被災地の安否確認が音声電話の規制でほぼ利用できなかったから。中央集権的に設計された通信網が、いったん「救急時」の想定を超えてしまうとどうにもならなくなり、その復旧までに多くの時間を要する。このことは日本大震災直後も変わっていない。一方、部分ごとに独立してノードで結ばれるルータが有機物のように活動できるパケット通信網であるインターネットが未曽有の災害直後も活き続けていたこと、95%にもなる携帯電話の保有率や80%近いインターネット普及率も含めて考えると、阪神大震災とは別世界のような違いである。電話が上からの統一規制された通信インフラであるのに対して、インターネットは分散された自律インフラ。テクノロジーとは別次元での思想の違いが変化をもたらしたように思えてならない。

 被災地では、震災直後にネットが役に立ったのか。
携帯電話が通じなくても、MailやSkypeやTwitterで安否確認できたことは偶然ではないし、私も東日本大震災発生30分以内にメールで知人の安否確認をすることができた。携帯電話やスマートフォンはいつも充電して使える状態が習慣化したライフスタイルがそれを可能にしたのであるが、リチウムイオン電池の持続可能時間が過ぎればそれまで。95%の携帯電話普及率というものの、地震と津波被害の混乱の中で、電池の保持時間内に使い慣れた電話機能ではなく、携帯やスマホの小さな画面をシニアグラスなしで、寒さに震える指で小さなキーを打てるとは思えない。MailやSkypeやTwitterは「一部の人にとって使うことができた」程度の評価としておくことがフェアだと思う。

 いまだ制御できない福島原発と情報開示の貧困さ
日本の原子力発電所は世界3番目の保有数(54基)。現在稼働中が18基。日本で電力需給を調整するために、東京電力は3月22日から、電力の使用状況をグラフとCSVでも開示している。さらに、CSVを利用したブログパーツやAPIが続々と作られ、誰もが簡単に電力状況を確認することができるようになっている。これらが節電への意欲を高めているに違いない。大規模停電に備えよというトップダウンの公告よりも、自主的な節電につなげようというボトムアップの活動が、過剰な電力依存から決別し、電力問題を自らのこととして捉えることができる。通常時、異常時ともに発信元は隠さず、加工せずに事実を淡々と伝えていくことが最も大切なこと。データの表現方法やその評価はボトムアップの活動に担わせ、自ら考える機会を提供するべきだと思う。皆が自分ごととして考えるためには。

 変えるべきは「由らしむべし知らしむべからず」
放射線量を含めたモニタリングデータも、放射線許容量も、災害情報も、気象観測地も、誰もが利用できる形式で開示される必要がある。データは加工しないと民は誤解してパニックになるという行動規範があったとしても、想定外の現象の前に制御できないという現実は変えられない。変えるべきは「由らしむべし知らしむべからず」の原理である。

 ボトムアップ発電。
想定外の事態に対して、電力会社が電力インフラを独占集中的に持つことが、安心といえる状況ではないことがわかってきた今、電力も多数のノードを動的に切り替えつつ機能を失わないインターネットのように、個々の家庭や事業所や地域が自然エネルギーで電力を生産し、自然エネルギーゆえの不安定さ、電力産地としての不安定さを補うため、電力を融通しあうことをめざすときだと思う。「冬に曇が続くと俺んち太陽光だからちょっと足らねえ。お隣は風力だしおすそ分けしてよ。そのかわり、夏の凪には使って。」

情報の発信と共有によってイノベーションを起こしていくべきは、隣国や中東の国々だけではなく、私たちが地に足つけているこの国のことだと思える。もっと発信力を高めて、想いを伝えて、未来につないでいくこと、取り組みを加速させたい。

【参考としたサイト】

東京電力 電力消費量
http://www.tepco.co.jp/forecast/index-j.html

東京電力プレスリリース
http://www.tepco.co.jp/cc/press/
http://www.tepco.co.jp/en/news/110311/

3月12日から止まったままの福島県原子力センター
http://www.atom-moc.pref.fukushima.jp/dynamic/C0005-PC.html

長野県公式サイト モニタリングポストによる常時測定(長野市)
http://www.pref.nagano.jp/kankyo/kansei/houshanou/houshanou.htm

新潟県公式サイト
http://www.pref.niigata.lg.jp/houshasen/1303765256257.html

2011年6月

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